ざっくり要約!
- マンションの屋上は、転落事故の危険性、設備や建物の維持管理、防犯上の懸念といった理由から立ち入りが禁止されているのが一般的です。
- マンションに屋上が設けられている主な理由は、給水タンクや設備の設置のほか、メンテナンス作業のしやすさ、最上階の居住スペース確保などです。
- 近年は屋上緑化や太陽光パネル設置、ドッグランなど、マンションの屋上を活用する事例が増えています。
マンションの屋上は広々とした空間が魅力ですが、多くの場合、立ち入りが禁止されています。近年では、屋上緑化や太陽光パネルの設置など、屋上を有効活用する事例も見られますが、同時に課題も存在します。
本記事では、マンションの屋上が立ち入り禁止とされる理由や屋上の役割、活用事例について詳しく解説します。マンション選びの参考に、ぜひご一読ください。
記事サマリー
なぜ多くのマンションの屋上は立ち入り禁止なの?
多くのマンションで屋上への立ち入りが制限されているのには、主に以下の理由があります。
- 危険が伴う
- 劣化を早める要因にもなる
- 防犯面の問題がある
- トラブル・クレームにつながるおそれがある
危険が伴う
マンションの屋上が立ち入り禁止とされる大きな理由は、安全面への配慮です。屋上には転落事故のリスクが常に伴います。特に子どもが誤って侵入した場合、重大な事故につながる可能性があります。
また、屋上には給水タンクやアンテナ、避雷針など、様々な設備が設置されており、不用意に触れると感電などの危険もあります。強風時には物が飛ばされたり、自身が風にあおられたりする危険性もあるでしょう。
これらのリスクから住民を守るため、屋上への立ち入りを原則として禁止しているマンションがほとんどです。
劣化を早める要因にも
屋上への立ち入りは、建物の劣化を早める原因になることがあります。
屋上には、雨水の侵入を防ぐために、防水層と呼ばれる防水シートなどが施工されています。人が歩いたり物を置いたりすることで防水層に傷がつくおそれがあり、そこから雨水が浸入すると雨漏りが発生しかねません。
さらに、屋上に設置されている空調機器やアンテナなどの設備類も、人の出入りによって破損するリスクがあります。建物の状態を保ち、大規模修繕が必要となるようなトラブルを未然に防ぐためにも、屋上への立ち入りを制限されているのです。
防犯面の問題も
防犯の観点からも、屋上への立ち入りを制限することは重要です。
屋上は、外部からの侵入経路となり得る場所であり、不審者が屋上から建物内に侵入するリスクも否定できません。特に、隣接する建物との距離が近い場合や、足場になるような構造物がある場合にはリスクが高まります。
また、屋上から他の住戸のバルコニーや室内が見える場合、プライバシーの侵害につながる恐れもあります。こうした理由から、部外者だけでなく、居住者であっても屋上に立ち入ることを禁止されているのです。
トラブル・クレームにつながるおそれがある
屋上への立ち入りが自由になると、住民同士のトラブルやクレームの原因になる可能性があります。例えば、屋上で宴会が開かれると、騒音問題に発展する恐れがあります。ゴミの放置やタバコの吸い殻の投げ捨てなど、マナー違反が発生する可能性も否定できません。
さらに、屋上から物が誤って落下した場合、階下の住民や通行人に危害を及ぼすリスクもあります。こうした状況を防ぐためにも、屋上の使用には一定のルールや制限が設けられています。
なぜマンションには屋上があるの?

マンションに屋上が設けられていることには、建物の維持管理や居住環境の確保といった目的が存在します。ここでは、マンションに屋上が存在する主な理由を3つ解説します。
- ライフラインの設備を設置する
- 勾配屋根では危険が伴う
- 居住スペースを確保しやすい
ライフラインの設備を設置する
マンションの屋上は、生活に欠かせないライフライン関連の設備を設置するスペースとして活用されています。例えば、各住戸に水を供給する給水タンクや、テレビ電波を受信するためのアンテナ、携帯電話の基地局などがその代表例です。
このほかにも、空調設備の室外機や、火災時に備えた消防設備などが設置されているケースもあります。これらの設備を地上や各階に配置すると、住居のスペースを圧迫したり、景観を損ねたりするため、屋上に集約されることが一般的です。
勾配屋根では危険が伴う
日本のマンションの多くは、「陸屋根(ろくやね・りくやね)」と呼ばれる平らな屋根を採用しています。勾配のある屋根に比べてメンテナンス時の安全性が高いことが理由のひとつです。
屋上設備の点検や修繕、防水工事などを行う際、平らな屋根であれば作業スペースを確保しやすく、作業員の転落リスクも低く抑えられます。一方、勾配屋根では足場が不安定になり、作業が難しくなります。
マンションには定期的な点検や修繕が欠かせないため、安全性や作業効率を考慮すると、陸屋根を選ぶことは合理的な選択といえるでしょう。
居住スペースを確保しやすい
陸屋根を採用することで、最上階の居住スペースを確保しやすいというメリットもあります。勾配屋根の場合、最上階の天井が斜めになったり、天井高が低くなったりする場合があり、居住空間に制約が生まれる可能性があります。
一方、陸屋根であれば、最上階でも他の階と同様にフラットな天井を確保しやすく、開放感のある居住空間を作れます。屋根裏のスペースが不要になるため、建物全体の高さを有効活用できる点も利点です。
マンションの屋上の活用事例と課題
通常は立ち入り禁止とされることが多い屋上ですが、近年ではその広いスペースを有効活用する動きが見られます。ここでは、マンションの屋上の活用事例と、その際の課題を見ていきましょう。
- 屋上緑化
- 太陽光パネルの設置
- ドッグラン
- 屋上の活用は耐久性・耐荷重性が課題
屋上緑化
屋上緑化は、ヒートアイランド現象の緩和や断熱効果による省エネ、景観の向上などを目的に取り入れられることがあります。植物が直射日光を遮ることで建物の温度上昇を抑えるため、特に夏場の冷房負荷を軽減する効果が期待できるでしょう。
また、緑に囲まれた空間は、住民にとっての癒やしの場となり、マンション全体の付加価値を高める要素にもなります。
太陽光パネルの設置
再生可能エネルギーへの関心の高まりから、マンションの屋上に太陽光パネルを設置するケースも増えています。
発電した電力を共用部の電気代に充てたり、売電の収入を得たりすることで、管理費の削減につなげている場合があります。環境負荷の低減に貢献できる点もメリットのひとつです。
ただし、導入には高額な初期費用がかかるうえ、投資回収までに時間がかかるケースもあります。さらに、設置後もパネルの定期的なメンテナンスが欠かせません。そのほか、反射光が近隣に与える影響なども太陽光パネル設置の課題とされています。
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ドッグラン
ペット可のマンションが増えるなかで、屋上スペースをドッグランとして活用する事例も見られるようになりました。
敷地内にドッグランがあれば、散歩に出かける手間を省きつつ、愛犬と気軽に遊べるため、ペットを飼う方にとっては大きな魅力となります。マンションの付加価値向上も期待できるでしょう。
一方で、犬の鳴き声や足音による騒音、排泄物の処理やにおいなどの問題も生じやすくなります。利用の際は、利用時間や頭数に関するルールを確認し、マナーを守ることが大切です。
屋上の活用は耐久性・耐荷重性が課題
マンションの屋上を有効活用するうえで、課題となるのが建物の耐久性や耐荷重性です。建築基準法では、建物にかかる積載荷重が定められており、屋上に設置するものの重量もこの制限内に収める必要があります。
屋上緑化のために大量の土壌を搬入したり、太陽光パネルを設置したりする場合には、構造計算を行い、その荷重に屋上が耐えられるかを事前に確認しなければなりません。
耐荷重を超える利用は、建物の安全性に影響を及ぼすおそれがあるため、専門家による調査と判断が不可欠です。
ルーフバルコニーも一定の制限があるのが一般的
屋上と混同されやすいスペースに「ルーフバルコニー」があります。ルーフバルコニーとは、下の階の屋根部分を利用したバルコニーのことで、通常のバルコニーよりも広めに設計されているのが特徴です。
ただし、ルーフバルコニーはマンションの共用部分に該当するため、利用には一定の制限があるのが一般的です。バーベキューの実施やビニールプールの設置、大量の荷物を置くことなどが管理規約によって禁止されているケースが多く見られます。
こうした制限は、防水層を保護するためだけでなく、騒音や臭い、落下物によるトラブルを未然に防ぐことを目的としています。ルーフバルコニー付きの物件を検討する際には、利用に関するルールを事前に確認しておきましょう。
・「ルーフバルコニー」付き物件一覧はこちら
まとめ
マンションの屋上は、事故やトラブルの防止、建物の維持管理といった観点から、原則として立ち入りが禁止されています。しかし、給水タンクなどのライフライン設備の設置場所として不可欠な空間です。
近年は屋上緑化や太陽光パネル設置など、付加価値向上のための活用事例も見られますが、建物の耐久性や維持管理、トラブル防止といった課題も存在します。
屋上のある物件を検討する際は、こうした特性や制限があることを理解し、事前に管理規約を確認することが重要です。屋上やルーフバルコニー付きの物件をお探しの場合は、ぜひ東急リバブルへご相談ください。お客様のご要望に合わせて物件探しをサポートいたします。
この記事のポイント
- マンションの屋上に立ち入り禁止のところが多いのはなぜですか?
多くのマンションで屋上への立ち入りが制限されているのには、「危険が伴う」「劣化を早める要因にもなる」などの理由があります。
詳しくは「なぜ多くのマンションの屋上は立ち入り禁止なの?」をご覧ください。
- そもそもなぜマンションに屋上があるのですか?
マンションに屋上が設けられていることには、建物の維持管理や居住環境の確保といった目的が存在します。
詳しくは「なぜマンションには屋上があるの?」をご覧ください。
- マンションの屋上を有効活用している事例はありますか?
通常は立ち入り禁止とされることが多い屋上ですが、近年ではその広いスペースを有効活用する動きが見られます。
詳しくは「マンションの屋上の活用事例と課題」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
屋上の防水工事は、マンション全体の修繕積立金で賄われるのが一般的ですが、利用状況によっては修繕費用が高くなるケースも考えられます。長期修繕計画や過去の修繕履歴を確認しておくと、将来的な負担を予測する上で役立ちます。
また、マンションの屋上利用に魅力を感じる方は、スカイテラスのある物件を探してみるのもよいでしょう。スカイテラスとは、屋上部分をバルコニーのように利用できるスペースです。利用制限やルールは物件によって異なるため、検討する際には、管理規約を確認することが重要です。

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